栄養士の資格があるといい!?食品分析について理解しよう!

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食品分析がどのような仕事かご存知ですか。

安全な食品を安心して食べるためには、食品分析をしっかりと行うことが必要です。その食品分析について概要や仕事内容を知っているといいでしょう。これから、食品分析の必要性や仕事内容をご説明します。

また、食品分析で必要な資格や適している人などもご紹介しますので、参考にしてみてください。

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食品分析の概要とは?

食品には、さまざまな成分が含まれています。食品の成分表示を見ると、多くの成分について記載があり、確認することが大切です。例えば、健康を意識している人や病気の人・アレルギーを持っている人など、さまざまな目的で成分表示を見ています。

この成分表示を明らかにするため、成分を分析するのが食品分析なのです。食品の成分を調べるだけでなく、微生物汚染がないかも調べています。日本には食品の安全性を確保するため、「食品衛生法」で公衆衛生に関する決まりがあります。

飲食での衛生上の危害発生の防止・健康の保護を図るなどの取り決めがあるのです。よって、有毒な物質や病原微生物に汚染されたもの・異物などを食品に含んではいけません。特に、病原微生物などの目に見えないものは、食品分析をしないと分からないでしょう。

食品の種類によっては、検査の基準を厳しく設定しているものもあります。

食品分析の仕事内容とは?

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食品分析の仕事では、食品の成分を詳細に調べています。また、食品の微生物汚染はないか、有害物質や残留農薬・放射線汚染はないかも調べることが必要です。日本と異なる基準で作った輸入食品は、日本基準に適合するかも調べています。

これらを、食品の種類ごとに決まった検査方法で調べるのが、食品分析の仕事です。平成27年に「食品表示法」が施行され、全ての容器包装した加工食品は、添加物や栄養成分表示を記載することが義務化されました。栄養成分表示とは、熱量を意味するカロリー、タンパク質や脂質・炭水化物などのことです。

食塩相当量の記載も必要で、食物繊維や飽和脂肪酸は記載推奨項目とされています。食品表示には、任意でビタミン類やミネラル・糖質の量を記載することが可能です。また、パッケージに宣伝文として、それらの量やカットした量を書くこともできます。

これらの表示をすると、消費者が注目する可能性があり、積極的に記載する傾向が高いです。ただし、「糖質0」「塩分を50%カット」など、強調して商品の特徴を説明したい場合は、基準値に適合しているかの調査を行います。

この調査をするのも、食品分析の仕事なのです。基準値と適合しているかの分析は、記載する時の必須条件になります。条件に当てはまらないのに強調した宣伝文を記載すると、製造した食品会社やメーカーは処分される可能性が高いです。

食品分析では、健康の保持や増進を目的にする「特定保健用食品」、乳幼児のミルクや病気の人専用の「特定用途食品」などの分析もしています。これらは、国がしっかりと基準値を設定しているため、それを超えてはいけません。

つまり、食品分析をして、成分内容と含まれている量をしっかりと計測しているのです。一般的に販売する前の食品に対して行いますが、販売中のものを調べることもあります。消費期限や賞味期限の設定調査も必要になります。

これらの期限を出すために、しっかりとした分析をして科学的な根拠を示すのも食品分析の仕事です。消費者から食品に対するクレームがあった時、食中毒疑いがある時も、原因を調べるために食品分析をします。食中毒やクレームの対応をする際、食品分析による確実性が高い調査報告が必要です。

調査結果をもとに、食品販売会社や小売店は適切な対応を取らないといけません。調査結果や対応によっては、食品販売会社や小売店の信用問題にも関わるでしょう。万が一、製造過程や販売過程に問題があった時は、原因を究明して解決策を考えるサポートもしています。

食品分析に必要な資格とは?

食品分析の仕事をする際、特に必須と決まっている資格はありません。未経験でも仕事を始めることができ、正社員だけでなくパートやアルバイトで雇っていることもあります。しかし、食品分析の仕事は技術職として扱われるので、理化学系の学校を卒業しているといいでしょう。

また、栄養や食品の法律に関する知識があると有利です。よって、「栄養士」の資格を持っていると、食品分析の仕事で採用されやすくなります。栄養士は食事の指導や調理・献立作りをする仕事と思われがちですが、食品分析でも活躍している人が多いです。

食品分析では、食に関する専門用語を使うこともあるので、あらかじめ知識のある人が求められます。民間の資格になりますが、「検査分析士」を持っていることも有利です。機器の分析業務に関する知識を持っている人が取得できる資格で、「初級・上級・特級」の3種類があります。

分析のスペシャリストとして評価されやすくなるので、資格を所有しているといいでしょう。実務経験を積んだ人が認定されるため、食品分析の仕事をしながら資格取得を目指す場合もあります。

食品分析の仕事に適している人とは?

食品分析の仕事に適している人は、細かい仕事をしっかりと行える人です。食品分析では、決まった時間や量を測定し、正確に分析する力が必要になります。よって、同じことを根気よく続けられる性格の人が向いているでしょう。

食品分析の仕事は同じことの繰り返しで、集中力や新鮮味が欠ける場合もあります。それでも、向上心を持って仕事を行える人が合っているのです。

食品分析の注意点とは?

食品分析では、分析値が一致しないこともあるので、注意が必要です。化学物質などの濃度を測る際、分析方法や機器・分析者の技術によって、さまざまな数値になります。また、気候や試験室の環境によっても分析結果が変わることもあるのです。

特に、食品分析を行う前の調整や前処理など、人間の操作が入ることで結果に誤差が出ます。よって、食品分析の結果が100%正しくなるとは限りません。ただし、食品分析の自動化が進み、ばらつきを少なくする取り組みも進んでいます。

食品はさまざまな成分が含まれているのも、分析結果に誤差が出る原因です。水など構成要素が明確になっているものは、食品分析で似た結果が出ます。しかし、生産する地域や地質・飼料が変わる食品の場合、成分が異なることも多いのです。

検査結果に惑わされないためにも、あらかじめ成分や微生物の知識を持っているといいでしょう。